第658号コラム:「教育目的と著作権--35条の誤解と保守的考え方--」
第658号コラム:須川 賢洋 理事(新潟大学大学院 現代社会文化研究科・法学部 助教)
今回は教育目的の著作物の利用について少し書いてみたい。これは著作権法の35条に規定してあることなのであるが、実は企業の人だけでなく大学のような機関に所属している人でもこの条文に書いてあることを勘違いしている人が非常に多い。「新入社員の教育用だから使ってもOKだよね…?」「研究目的だから皆にコピーして配っても大丈夫だよね…?」という会話は産学問わず、かなり多くの職場でなされているのではないだろうか。実はこれ、どちらも間違っている。つまりは違法なのである。著作権法35条の標題は「学校その他の教育機関における複製等」であり、早い話が文部科学省が教育機関と認める所で、さらには"授業"に関する場合に限定されている。塾などは対象外である。条文後段には「著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない」という限定もつく。
「法務・監査」分科会(第17期 第3回)
開催日時:2021年3月25日(木)19:00~21:00
テーマ:「 民事訴訟法改正の中間報告における議論の要点」
講師:湯淺 墾道 氏 (IDF理事、情報セキュリティ大学院大学副学長)
第657号コラム:「法制審議会民事訴訟法(IT化関係)部会の議論を振り返る」
第657号コラム:湯淺 墾道 理事(情報セキュリティ大学院大学 副学長、教授)
裁判手続に関する規律は、門外漢にとっては、きわめてわかりにくい。立法府である国会によって制定される訴訟法が存在すると同時に、三権分立の中で独立している司法府である最高裁判所も手続等に関する規則を制定する権限を有する(憲法77条)。憲法は「国会は国の唯一の立法機関」であることを定めながら(憲法41条)、その例外ともいうべき権限を最高裁判所に与えているわけであり、法律で定めるべき事項と裁判所の規則で定めるべき事項との関係について、憲法学の立場と訴訟法の立場からさまざまな学説がある。
2020年度「DF普及状況WEBアンケート調査」報告書
第17回デジタル・フォレンジック・コミュニティ2020 in TOKYO 2日目(12/8)にて実施致しました、「DF普及状況WEBアンケート調査」の報告書を公開致します。 「DF普及状況WEBアンケート調 […]
第656号コラム:「10年を振り返って、あらためて感じたこと〜セキュリティリスク認識の大切さ~」
第656号コラム:宮坂 肇 理事(NTTデータ先端技術株式会社 セキュリティ事業部 サイバーセキュリティインテリジェンスセンター長 プリンシパル)
10年前の2011年3月11日 14時46分に発生した東日本大震災は、大規模な地震災害であり記憶に刻まれている災害。復興が相当なスピードで進んでいるが、まだまだ数多くの傷跡が残されている。震災に遭われた方々の思いを考えると心が痛む。さらに、今現在も続いている新型コロナのパンデミックも全世界レベルで大きな脅威となっており、1年以上経てもいまだに続き、社会的にも大きな問題となっている。本コラムでも執筆の機会ごとにさまざまな脅威、さらにその時点でのセキュリティ上の問題について取り上げてきた。本コラムでは10年を振り返って、企業等のセキュリティに影響のある脅威についてあらためて整理していくつかを取り上げてみたい。
「法曹実務者」分科会(第17期 第6回)
開催日時:2021年3月10日(水)19:00~21:00
題目: 個人情報保護法改正の最新状況とインシデント対応への影響
講師:蔦 大輔 氏(森・濱田松本法律事務所 弁護士)
第655号コラム:「サプライチェーン分析と経済安全保障について」
第655号コラム:守本 正宏 理事(株式会社FRONTEO 代表取締役社長)
今や軍事技術が先端技術として活用される時代から、民間技術が軍事技術に転用される時代へと変化し、最先端技術を持つ人や企業、サプライチェーンを把握し確保することは国家の安全保障にかかわる事項となってきました。つまり、経済安全保障という考えが今や国家戦略、企業のグローバル戦略を考える上で必須となっています。 例えば、現在、新型コロナウィルス感染者拡大に歯止めをかけようと、ワクチンの確保は喫緊の課題となっています。各国が自国民のために優先的に確保しようとすることは当然の事であり、EUが域外提供を阻止しようとすることも当たり前のことでしょう。人道的観点から占有すべきではない、という考え方は建前としてはあるでしょうが、政府が自国民を犠牲にしてまで他国に出したくはない、と考えるのは自然なことです。
第654号コラム:「雲間の青天」
第654号コラム:西川 徹矢 理事(笠原総合法律事務所 弁護士)
去る1月27日、欧州刑事警察機構(ユーロポール)は、世界各国で猛威を振るってきたボットネット「エモテット」(Emotet)の拠点を急襲し、このボットネットを「テイクダウン」したと発表した。この作戦は ユーロポールと欧州司法機構(ユーロジャスト)の共同調整の下、ウクライナ国や独国、米国等8カ国の当局が共同参加し、ウクライナ国では、ハッカー集団の拠点を捜索した際、エモテットの拡散に関わった現地人被疑者2名の身柄を拘束し、多数の証拠品を押収した。
第653号コラム:「Clubhouseのリスク考」
第653号コラム:町村 泰貴 理事(成城大学 法学部 教授)
日本では事実上今年から参加可能となった新しいSNSであるClubhouseを、私も招待してもらって参加してみた。
他の代表的なSNSが文章表現を中心とし、音声や動画での表現も加わっているのに対して、Clubhouseは音声のみのSNSというコンセプトであり、しかも音声が記録されるわけではなくオンタイムで流されていくだけで蓄積はされないということであるので、利用者は時間的に一つの場(Clubhouseではルームという)にしか参加することができない。
第652号コラム:「コロナ禍での慶應義塾大学サイバーセキュリティ研究センター行事『第10回記念サイバーセキュリティ国際シンポジウム』について」
第652号コラム:手塚 悟 理事(慶應義塾大学大学院 環境情報学部 教授)
2015年8月に、慶應義塾大学は全塾研究センターとして「サイバーセキュリティ研究 センター」を設立しました。その記念行事として2016年2月に開催したサイバーセキュリティ国際シンポジウムを皮切りに、昨年10月に「慶應義塾大学サイバーセキュリティ研究センター行事『第10回記念サイバーセキュリティ国際シンポジウム』を開催しましたので、この内容についてご紹介します。
今回のサイバーセキュリティ国際シンポジウムは、第10回の記念すべき開催となりました。この記念シンポジウムにふさわしく、世界のサイバーセキュリティに関する大学連携組織であるInterNational Cyber Security Center of Excellence (INCS-CoE)と、米国の非営利団体であるMITREが共同開催者となり、開催規模も今まで以上に大きくして実施しました。コロナ禍での開催となりましたので、今までの慶應三田キャンパスでの 開催とは違い、初の試みであるオンラインでの実施となりました。